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簡易課税制度

消費税の納付税額は、通常は次のように計算します。

課税売上高(税抜き)×4%-課税仕入高(税込み)×4/105

しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5千万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。

この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

ポイント

例えばサービス業を営んでいる場合、簡易課税のみなし仕入率は50%です。これは預った消費税のうち、半分を支払った消費税とし、残り半分を納税するということになります。

この事業者の給与総額が売上の60%を占めているとします。給与は消費税がかからない取引(不課税取引)ですので、残り40%の中に支払った消費税が含まれていることになります。とすれば、原則課税で納税額を計算すれば、「預った消費税」から控除できる「支払った消費税」は4割以下の金額です。簡易課税では半分を「支払った消費税」とできるため、簡易課税を選択したほうが得です。

逆にこの事業者が大きな設備投資をしようとします。建物の建設や機械等の購入には消費税がかかります。原則課税で計算すれば消費税が還付になる場合でも、もし簡易課税を選択していれば、実際に支払った消費税は全く無視し、預かった消費税からのみ計算しますので、還付は受けられません。

また輸出業者の場合、輸出売上は免税売上となり預かる消費税がありませんので、原則課税では支払った消費税は還付になります。これが簡易課税では預かった消費税に率をかけて支払った消費税を計算するだけですので、支払った消費税は0円となり還付は受けられません。

この2つを選択しようとする場合には、将来の事業計画や売上/経費の見込み等慎重に判断する必要があります。