会社が社長等の役員又は使用人に金銭を貸し付けた場合、適正な利息を取らないと、その差額が給与として課税されてしまいます。
どうしてこのような規定があるかというと、同族会社等の場合、社長としての立場を利用して会社からいくらでも低利息(又は無利息)での金銭の借り入れができてしまい、それは会社から社長個人への『経済的利益』になるからです。
適正な利息とは、次の二つのどちらかの利率になります。
①会社が金融機関からの借入がある場合は、その借入利率。
②会社が金融機関からの借入がない場合は、貸付を行った日の属する年の※特例基準割合による利率。
※平成30年の特例基準割合による利率は、1.6%ですので、平成30年の貸付については、年利1.6%以上の利息を会社が受け取っていれば、問題ありません。
ポイント
実は、最近の所得税基本通達〔36-49〕の改正により、上記②の場合の適正な利息の利率が大幅に下がりました。具体的には以下のとおりです。
平成14年1月1日から平成18年12月31日に貸付けを行った場合 4.1%
平成19年1月1日から平成19年12月31日に貸付けを行った場合 4.4%
平成20年1月1日から平成20年12月31日に貸付けを行った場合 4.7%
平成21年1月1日から平成21年12月31日に貸付けを行った場合 4.5%
平成22年1月1日から平成25年12月31日に貸付けを行った場合 4.3%
平成26年1月1日から平成26年12月31日に貸付けを行った場合 1.9%
平成27年1月1日から平成28年12月31日に貸付けを行った場合 1.8%
平成29年1月1日から平成29年12月31日に貸付けを行った場合 1.7%
平成30年1月1日から平成30年12月31日に貸付けを行った場合 1.6%
上記のように改正されているので、平成30年以降の貸付金に対しては従前の4.3%の利息を会社が取る必要はなく、半分以下の1.6%の利息を取ればいいので、注意が必要です。